
PMP間違いノートの書き方:間違えた問題を「判断ルール」に変える6ステップ(無料Wordテンプレート付き)
PMPの間違いノートは、問題を写すノートではなく、判断ルールを積み上げるノートです。勘で当たった問題まで記録し、C・R・M・S・A・Tのタグで原因を分けてルールに変える6ステップと、無料のWordテンプレート。
パート 6 / 15
PMPの準備に費やした7週間で、私がいちばん長く向き合っていたのは新しい問題ではありませんでした。すでに間違えた問題です。Study Hallの模擬試験は66%と65%。その点数で試験会場に入り、PASSをもらって出てきましたが、振り返ると、あの点数で合格できたのは間違いノートによるところが大きかったと思います。
3行まとめ:PMPの間違いノートは、正解を覚えるためのノートではなく、「〜なら、まず〜する」という判断ルールを積み上げるノートです。間違えた問題と勘で当たった問題をすべて記録し、原因をC・R・M・S・A・Tの6つのタグに分けて、1日後・7日後・21日後に見直します。私が使っていたやり方は9ページのWordテンプレートにまとめて、無料で配布しています。
PMPの間違いノートは「判断」を直すノートです
PMPの問題の多くは、知識をそのまま問うものではありません。プロジェクトで起こりそうな状況をひとつ示して、プロジェクト・マネージャー(PM)がいま、まず何をすべきかを選ばせます。
厄介なのは、選択肢のほとんどが「間違った行動」ではないことです。上司に報告するのも、会議を開くのも、計画を見直すのも、実務ではどれもやることです。正解と不正解を分けるのは、知識よりも順番と優先順位です。
だから、問題と正解を書き写す普通の間違いノートは、PMPではあまり効きません。第1回にも書きましたが、正解の文章を覚えたら、言葉が少し変わっただけでまた間違えました。残すべきなのは問題ではなく、「次に似た状況が来たら、自分はまず何をするか」というルールです。
私のStudy Hallのフル模擬試験(Full Mock)の点数は66%と65%、全体の平均は約62%でした。高得点の合格体験記を読むたびに不安になりましたが、点数よりも私が信じていたのは、同じ理由で間違える問題が減ってきているというサインでした。そのサインを目で確かめさせてくれたのが、間違いノートです。
間違えた問題を判断ルールに変える6ステップ
やり方は、テンプレートの1ページ目に書いた「使い方」の6行そのままです。間違いカード1枚には、状況の要約、自分の答えと正解、正解がいちばん適切な理由、はまった罠、原因タグ、次のためのルール、復習の欄があります。
間違いノートのテンプレート1〜2ページ。左が使い方と原因タグ、右が記入例と「いいルール、だめなルール」の表です。
ステップ1:間違えた問題と「勘で当たった」問題をすべて記録する
間違えた問題だけを記録すると、半分を見落とします。2択まで絞って勘で選んだものが当たったなら、それは運がよかっただけの不正解です。本番でその運がまた来る保証はありません。
そこで、カードごとに「確信度」の欄を設けて、確実・あいまい・勘のどれかにチェックします。正解しても、あいまいだったり勘だったりしたら記録します。逆に、確実にわかって正解した問題まで書く必要はありません。その時間で、間違えた問題をもう一度見直すほうが得策です。
ステップ2:問題文は写さず、状況を一行にまとめる
問題を丸ごと書き写すと時間がかかるうえ、結局は文章を覚えることになります。代わりに、誰が、どんな状況で、何を問われているのかだけを一行に縮めます。
アジャイルチームの開発者2人が技術的な進め方で衝突を繰り返し、スタンドアップの空気まで悪化。PMがまずやることは?
一行に縮めるには核心を見つけなければならないので、要約すること自体が復習になります。このとき、ドメイン(People・Process・Business Environment)とアプローチ(予測型・アジャイル・ハイブリッド)にもチェックを入れておきましょう。数週間分たまると、「自分はアジャイルの状況のPeopleの問題に弱い」といったパターンが見えてきます。
新しい試験ではBusiness Environmentの比重が8%から26%に大きくなったので、ドメインの欄も読み飛ばさないでください。変更点は第5回:2026年PMP試験改定まとめに整理しました。
ステップ3:自分の答えと正解、そして正解が「いちばん」適切な理由を書く
自分の答えと正解を並べて書いたら、いちばん大事な欄を埋めます。正解がなぜ正しいのかではなく、なぜいちばん適切なのかです。
PMPでは、自分が選んだ答えもたいていはもっともらしい行動です。だから「なぜ自分の答えではなく、この答えが先なのか」を、PMIの視点で1〜2文で説明できなければなりません。説明が出てこないなら、まだ理解できていないということです。
そのすぐ下の欄には、自分の答えが違った理由、つまりはまった罠を書きます。「エスカレーションが早すぎた」「問題文のFIRSTを見落とした」のように短く書けば十分です。
ステップ4:間違えた原因にC・R・M・S・A・Tのタグを付ける
原因を分けておくと、点数がただの成績表から処方箋に変わります。テンプレートには6つのタグを入れました。
| タグ | こんなとき | こう直す |
|---|---|---|
| C 概念 | 用語やプロセスを知らなかった | 自分の言葉で一行に定義し、例をひとつ添える |
| R 読み違い | FIRST・NEXT・BEST・EXCEPTなどの条件を見落とした | 問題の最後の一文から読む |
| M マインドセット | 状況は理解したが、PMIの優先順位とずれた | 「PMIならまず何をする?」と自問する |
| S 順序 | 行動は正しいが順番が違った(評価 → 計画 → 実行) | 「まずやること」と「次にやること」を分ける |
| A アプローチ | アジャイル・予測型・ハイブリッドの文脈を取り違えた | スプリント、バックログ、変更管理などの手がかりに印を付ける |
| T 時間 | 時間が足りず勘で答えた | 1問あたりの平均時間を記録する |
タグはひとつに絞る必要はありません。あとで紹介する記入例にも、MとRの両方が付いています。
第1回と第2回に書いた自分のミスのリストを見直すと、ほとんどがこの6つのどれかに入ります。すぐにスポンサーに上げてしまった問題はM、FIRSTとNEXTを区別しなかった問題はR、変更の影響を分析する前に実行した問題はS、予測型とアジャイルの状況を取り違えた問題はAです。試験当日、最初の60問に約80分かかったのは、Tの警告でした。
ステップ5:「〜なら、まず〜する」というルールにする
この一行が、間違いノートの成果物です。ほかの欄はすべて、この一文を書くための材料です。
ルールは、試験中に3秒で思い出せなければ意味がありません。そのために守ることは2つだけです。
- 状況は具体的に書く。「対立」ではなく「チームメンバー同士の対立」のように。
- まずやる行動はひとつだけ書く。
「〜なら、まず〜する」という型に当てはめて書けば、この2つは自然と守られます。
ステップ6:1日後・7日後・21日後に解き直し、週に一度タグを数える
書いたきり見返さなければ、間違いノートはすぐに引き出しの奥で眠るノートになります。カードには1日後・7日後・21日後の復習欄があります。翌日、1週間後、3週間後に状況の要約だけを見てもう一度判断し、「解き直し」の欄に「正解」か「また間違えた」をチェックします。一度にまとめて見るより、間隔をあけて何度も見返すほうが記憶に長く残ります。
そして週に一度、その週に付けたタグを数えます。テンプレートの週間レビュー表には、解いた数、間違い、正答率、C・R・M・S・A・Tそれぞれの数と「来週の重点」の欄があります。いちばん多かったタグが来週の宿題です。Mが多ければマインドセットを整理し直し、Rが多ければ問題の最後の一文から読む練習を、Tが多ければ時間を計って解く練習をする、という具合です。
試験が近づいたら、「つい破ってしまうルール Top 3」と「試験前夜に読む:自分のルール10」を埋めます。第2回に書いたとおり、私は試験の2日前から、新しい問題より間違いノートを繰り返し見ていました。そのときに見直すのはカード全部ではなく、こうして絞り込んだ短いリストです。
記入例:チームの対立で、まず「報告」を選んでしまったら
テンプレートの2ページ目に載せた記入例を、1欄ずつ見ていきましょう。実際の試験問題ではなく、よく出るパターンをもとに作った例です。
| 欄 | 記入内容 |
|---|---|
| 出典・ドメイン・アプローチ | 模擬試験・People・アジャイル |
| 状況を一行で | アジャイルチームの開発者2人が、技術的な進め方をめぐって何度も衝突している。デイリースタンドアップの空気まで悪くなった。PMがまずすべきことは? |
| 自分の答え | B. 機能部門のマネージャーに報告し、判断を仰ぐ |
| 正解 | C. 2人と話す場を設け、それぞれの根拠を聞き、合意点を見つけられるよう支援する |
| 確信度 | あいまい |
| 正解が「いちばん」適切な理由 | 対立はまず当事者同士で、協働(問題解決)によって解決する。自己組織化チームのPMは代わりに決める人ではなく、対話を促すサーバント・リーダーだ。 |
| 自分の答えが違った理由(はまった罠) | 報告やエスカレーションは、チーム内で解決できないときの最後の手段。「まず(FIRST)」という条件を見落とした。 |
| 原因 | M マインドセット、R 読み違い |
| 次のためのルール | チームの対立なら、まず当事者同士の対話を支援する。エスカレーションは最後。 |
| 復習 | 1日後 完了 |
Bに惹かれるのは、実務ではそれが責任ある行動に見えるからです。チームメンバー2人がぶつかったら、上に知らせて判断を仰ぐのが早くて安全に思えますよね。でもPMPでは、PMはチームが自分たちで問題を解決できるよう支援する人です。チーム内で解決できることを先に上へ上げてしまうと、不正解になります。
とはいえ、エスカレーションがいつも不正解というわけではありません。話し合いで解決しなければ、そのあとで上げればいいのです。だからルールの最後に「エスカレーションは最後」と付けました。このひと言が、「エスカレーションは無条件で不正解」と間違って覚えるのを防いでくれます。
このパターンは、第1回の私のミスのリストにも入っていました。結果レポートでPeopleがBelow Targetだったのを見ると、最後まで宿題として残った部分だったのだと思います。
いいルール、だめなルール
最初にルールを書くと、決意表明のようになりがちです。「対立問題に気をつける」といった具合です。間違ってはいませんが、試験会場ではこの一文は何も教えてくれません。何に気をつけるのか、だからまず何をするのかが書かれていないからです。
| だめなルール | いいルール |
|---|---|
| 対立問題に気をつける | チームの対立なら、まず当事者同士の対話を支援する。 |
| 変更管理を見直す | 予測型でスコープ変更の要望が来たら、まず影響を分析してから変更要求を出す。 |
| アジャイルと混同しない | スプリント中に新しい要望が来たら、まずプロダクトオーナーにバックログで優先順位を決めてもらう。 |
| リスクは丁寧に | 特定済みのリスクが発生したら、まず計画どおりのリスク対応を実行する。 |
いいルールには3つの共通点があります。状況が具体的で、まずやる行動がひとつで、3秒で思い出せるほど短いことです。
テンプレートの最後のページには、試験によく出る判断パターンを一行ずつ12個書いておきました。いくつか抜き出すと、こんな感じです。
- 問題が起きたら、まず状況を把握して分析する。すぐに報告したり動いたりしない。
- 予測型では、スコープ・スケジュール・コストの変更は統合変更管理を通す。
- アジャイルでは、バックログの優先順位はプロダクトオーナーが決める。
- 品質は検査より予防。
- メンバーの成果の問題は、1対1で原因から聞く。
暗記するためのリストではありません。自分の間違いノートのルールと並べて、自分のルールがこのうちどの行の具体版なのかを確かめるためのものです。第1回に書いたとおり、倫理、法規、安全、緊急のリスクのように、すぐに対処すべき例外もあるからです。
ChatGPTに分けておいた、間違いノート用のチャット
間違いノートを整理するときは、ChatGPTも一緒に使いました。「PMP 시험공부」(PMP試験勉強)というプロジェクトの中に、「오답노트 (정리)」(間違いノートの整理)というチャットを別に作っていました。
ChatGPTのプロジェクト「PMP 시험공부」のチャット一覧。個人的な項目3つにはモザイクをかけています。
GPTには間違えた理由を分類させ、自分の判断の過程を説明したうえで、抜けている前提を指摘してもらいました。ただし、最後のルールの一文だけは自分の言葉で書きました。自分の言葉で書いた文でないと、試験会場で思い浮かばないからです。
GPTに何を、どう聞けばいいかは、第7回で質問例とあわせてまとめました。
無料のPMP 間違いノート テンプレート(Word)
この記事で説明したやり方を、そのままWordファイルにしました。全9ページです。
- 1ページ:使い方の6ステップと原因タグ(C・R・M・S・A・T)
- 2ページ:記入例、いいルールとだめなルール
- 3〜7ページ:空欄の間違いカード10枚
- 8ページ:週間レビュー表、「つい破ってしまうルール Top 3」、「試験前夜に読む:自分のルール10」
- 9ページ:PMPマインドセットの一行ルール12個
日本語・英語・韓国語・スペイン語版があり、申し込むときにファイルの言語を選べます。下の欄にメールアドレスを入力し、ニュースレターの購読に同意すると、ダウンロードリンクをメールでお送りします。

無料テンプレート · Word(.docx)
PMP 間違いノート テンプレート
合格まで使った間違いノートのやり方を、Wordテンプレートにしました。メールアドレスを入力すると、ダウンロードリンクをすぐにお送りします。
- 記入例+6つの原因タグ(C・R・M・S・A・T)
- 間違いカード10枚と週間レビュー表
- PMPマインドセットの一行ルール12個
おわりに
間違いノートを書くのに時間がかかるのは確かです。それでも私にとっては、新しい問題をもっと解くより、間違えた問題ひとつを一行のルールに変えるほうが、試験会場で役に立ちました。同じ問題は二度と出ませんが、同じ判断は何度でも出てくるからです。
新しい試験のケーススタディ問題も、同じカードに記録すれば大丈夫です。ケーススタディの対策は第9回で別に取り上げます。
次の記事では、この間違いノートをGPTで点検し、NotebookLM(現 Gemini Notebook)の音声で通勤中に復習した方法をまとめました。
次回:GPTで概念を確認し直し、NotebookLMの音声で通勤復習:私のPMP AI勉強ルーティン
よくある質問
PMPの間違いノートは、いつから書き始めればいいですか?
最初の問題セットを解くときから書くのがおすすめです。早いうちから原因タグを集めておくと、どんなタイプの問題で繰り返し間違えるのかが早めに見えて、残りの期間で何から勉強するかも決めやすくなります。
正解した問題も間違いノートに書くべきですか?
勘で当たった問題や、あいまいなまま正解した問題は書きます。運で当たった問題は、本番で間違える可能性があるからです。確実にわかって正解した問題まで書く必要はありません。
問題をそのまま書き写してはだめですか?
だめではありませんが、おすすめはしません。時間がかかるうえ、正解の文章を覚えることになりがちです。状況を一行にまとめ、正解がいちばん適切な理由と次のためのルールを書くことに時間を使うほうがいいでしょう。
PMP 間違いノートのテンプレートはどうすれば受け取れますか?
この記事のテンプレート申し込み欄にメールアドレスを入力し、ニュースレターの購読に同意すると、ダウンロードリンクがメールで届きます。9ページのWordファイルで、日本語・英語・韓国語・スペイン語版があります。
Study Hallの点数が60%台ですが、間違いノートで十分でしょうか?
私のフル模擬試験の点数は66%と65%、全体の平均は約62%で、合格しました。ただし、この点数が誰にでも通用する合格ラインというわけではありません。点数とあわせて、同じ理由で間違える問題が減っているか、判断の過程を自分の言葉で説明できるかを確かめてみてください。
参考資料
GPTで概念を確認し直し、NotebookLMの音声で通勤復習:私のPMP AI勉強ルーティン
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間違いノートのやり方を6ステップで解説し、無料のWordテンプレートを用意。
- •C・R・M・S・A・Tの原因タグ、記入例、いいルールとだめなルール
- •テンプレートの申し込みフォームを追加
知識のつながり
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- PMP取得後、仕事で変わったこと:資格よりも「話し方」が変わった
- PMPケーススタディ問題の対策:2026年の新形式は、こう読んでこう解く
- 通勤時間のPMP勉強法:短く濃く、こまめに見る(+合格者の単語帳)
- GPTで概念を確認し直し、NotebookLMの音声で通勤復習:私のPMP AI勉強ルーティン
- 2026年PMP試験改定まとめ:変わったこと、そしてPMBOK第7版 vs 第8版
- PMP合格体験記 第2部:試験当日の時間配分と、合格のための最後のアドバイス
- PMP合格体験記 第1部:7週間の準備と、Study Hall 60%台からPASSまで(費用・日程まとめ)
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